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耐震診断ツール

概要

「耐震診断ツール」画面イメージ1~木造住宅の耐震診断をブラウザ上で行う計算ツールを制作しました。

このコンテンツは、木造住宅の耐震診断をブラウザ上で行う計算ツールです。

当時、阪神・淡路大震災を機に高まっていた戸建住宅の耐震診断ニーズに応えるため、クライアント企業から「耐震診断ツール」制作の打診をいただきました。

そして、計算方法や実装方法などさまざまな検討を行った結果、当初クライアントより依頼された「簡易診断法」よりも、詳細で本格的な「精密診断法」による診断が実現可能なことがわかりました。

そこで、「精密診断法」による計算エンジンを提案し、制作が実現しました。

当コンテンツは、初期の段階から『手元のPCにソフトウェアをインストールして実行するアプリケーション』ではなく、『サーバ上に格納された計算エンジンをウェブブラウザから利用するアプリケーション』を目指して開発を行いました。

そのメリットとしては、

  • より多くのプラットホームでコンテンツを実行できる
  • サーバ側にソフトウェア本体が一元的に存在するため、修正や機能追加が容易に行える

ことなどが挙げられました。

当時はその様な呼称は見掛けませんでしたが、奇しくも、いわゆる「SaaS(Software As A Service)」や「クラウド」形式のアプリケーションとなりました。

特長

入力画面のインターフェイス
「耐震診断ツール」画面イメージ2~入力画面のインターフェイスには、Macromedia(当時)のFlashを採用しました。

診断には建物の仕様、間取り、壁の強度などを入力するため、ブラウザ上で図形の操作が必要になります。
このユーザ・インターフェイス部分にはMacromedia(当時)のFlashを採用しました。

CPUのクロック周波数が1GHz前後だった当時は、サーバ側もユーザ側もコンピュータのリソースに乏しく、間取り作成のグラフィカル・ユーザ・インターフェイスを実現するには、Flashが最適でした。

また、同じ頃、FlashのAction Scriptに、その後AJAX技術でポピュラーになる「バックグラウンドでのサーバとの動的通信」がサポートされました。

この機能を利用すると、ユーザの操作結果をFlashからサーバへ送信し、返って来た計算結果を基に画面の動的更新が実現可能でした。

この機能の実装により、一度診断した間取りに対して壁の補強等を施してデータをサーバへ送信し、計算結果をFlashへ返すことで、その場で偏心量の変化等を見ながら補強の検討なども行える様になりました。

こういった経緯から、入力画面のインターフェイスにはFlashを採用しました。

リソースの限界と操作感の設計

開発で最も苦労が多かった点は、「リソースの限界」と「操作感の設計」でした。

当時はFlashや稼働するコンピュータのリソース容量が小さく、間取りエリア全体に配列を確保するとFlashがハングアップしたり、サーバ側がメモリーリミットに達したりと、リソース限界には悩まされ続けました。

こういった点にはさまざまな手法で対処を行い、ひとつひとつ問題点をクリアして行きました。

また、間取り作成や壁強度入力などの操作感を設計する部分では、「CADソフト感覚を求める人」や「グラフィック系ソフトの操作感を求める人」など様々な意見がありました。

計算エンジンの検証も兼ねて、大学の先生などにもご協力いただき、より使いやすい操作感へとブラッシュアップを図りました。

PDFファイルの動的生成
「耐震診断ツール」画面イメージ3~診断結果をPDFファイルとして動的に生成する機能を盛り込みました。

このツールのもう一つの大きな特長は、診断結果をPDFファイルとして生成する機能を盛り込んだことです。

診断結果は画面上でも得ることができますが、診断や補強に実用的に役立てるためには書類として残せる仕組みが必要だと考えられました。

そこで、PDFファイルを生成するモジュールを導入し、入力した間取りや各種パラメータ、計算過程や最終結果、剛心や重心の位置などをまとめてドキュメントに生成し、「診断書」を作成できる様にしました。

多くの機能を搭載

診断をよりわかりやすくし、実用的に役立てていただくために、他にも多くの機能を搭載しました。

「耐震診断ツール」画面イメージ4~壁構造や外壁を選択するためのイラスト入りの操作ヘルプなども搭載しました。

壁強度を選択して行くためのわかりやすいウィザード形式を搭載したり、壁構造や外壁を選択するためのイラスト入りの操作ヘルプ等を搭載し、建築の専門家以外のユーザにも利用していただけることを目指しました。

「耐震診断ツール」画面イメージ5~診断結果を考察するための情報も盛り込みました。

また、補強検討等に有効な診断情報(建物仕様や間取り、壁強度など)を保存・再利用する機能を盛り込んだり、診断結果を考察するための情報など、大変多くの機能を盛り込んでいます。

こういった機能によって、診断プログラムの実用性が大きく増して、より本格的な診断&補強ツールとして実務に役立てていただけるコンテンツが完成しました。

仕様

コンテンツ内容 「精密診断法」による木造住宅の耐震診断ツール
公開種別 一般公開
制作期間 約1年(実質約6ヶ月)
運用開始 2002年12月~
デザイン制作 外部(Flash部分を含む)
保守 継続中
稼働サーバ 当初独自サーバにて運用 → 後にレンタルサーバ(VPS)へ移行
システム構成 Linux, Apache, PostgreSQL, PHP, PDFモジュール
データベース あり
付帯機能 PDFの動的描画、会員機能