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APFp計算ツール

概要

「APFp計算ツール」画面イメージ1~「ガスヒートポンプエアコン期間成績係数APFp」をブラウザ上で算定する計算ツールを制作しました。

このコンテンツは、「ガスヒートポンプエアコン期間成績係数APFp」をブラウザ上で算定する計算ツールです。
先行開発した「業務用エアコン通年エネルギー消費効率APF」計算ツールに引き続いて制作しました。

「APF計算ツール」とは計算そのものが異なる他、今回は性能のグラフ化もご依頼いただきました。

ガスヒートポンプエアコンの期間成績係数APFpの算定

「ガスヒートポンプエアコン」とは、エアコンに必要なコンプレッサーを電気モーターではなくガスエンジンで駆動する形式の空調システムです。
消費するエネルギーの大半がガスとなるため、ビルや店舗に用いる大型のエアコンでも電力消費量が少なく、ビル用の大電力(受変電設備)が不要であったり、経済性に優れているなどのメリットがあります。

「APFp計算ツール」画面イメージ2~エアコンの成績係数とは、消費するエネルギーに対してどの程度の能力を有しているかの効率を表す指標の一種です。

エアコンの成績係数とは、消費するエネルギーに対してどの程度の能力を有しているかの効率を表す指標の一種です。
しかし、単純に能力と消費エネルギーの商を求めるのではなく、地域や建物用途等による負荷を加味して、年間を通じて必要となる能力と負荷に応じた消費エネルギーから、より実運用に適したエネルギー消費効率を表す指標となっています。

ガスヒートポンプエアコンの「期間成績係数APFp」は、その運転形式や外気温度などによって運転領域を判定し、建物用途や地域毎の運転時間などを加味して算定します。
その計算方法はJIS規格により規定されており、さまざまなバリエーションに応じた複雑な計算が必要です。

その計算をブラウザからパラメータを入力&選択するだけで簡単に行える様にしたのが「APFp計算ツール」です。

特長

基本的には、先行公開された「APF計算ツール」の画面デザイン&インターフェイスを踏襲する形で進めました。

入力画面のインターフェイス

計算に使用するパラメータは、運転形式などの選択によってさまざまに変化します。
この様な入力&選択が必要な場面では、一般に

  1. 「次へ」「次へ」で進むウィザード形式による入力・選択操作
  2. 選択内容等によって入力フォームが動的に変化する入力・選択操作

の2つの手法が考えられました。

1の「ウィザード形式」は、その場面での操作項目を1つか2つに絞ることによって入力&選択が行い易くなる反面、全体感が掴みづらく相互の影響もわかり難くなるなどのデメリットがあります。
それに対して2の「入力フォームの動的変化」では、たくさんの入力&選択項目が一気に表示されて圧倒されることもある反面、全体的な見通しが良く、「これを選択するとこちらの入力が不要になる」などの相互の関係もわかりやすくなるメリットがあります。

「APFp計算ツール」画面イメージ3~入力画面には、ユーザの選択によって必要な入力フォームが動的に変化するインターフェイスを採用することにしました。

それぞれの特性と今回の計算に必要なパラメータを検討した結果、入力画面においては、ユーザの選択によって必要な入力フォームが動的に変化するインターフェイスを採用することにしました。

グラフ描画へ合わせての計算エンジン作成

JIS規格上のAPFpの計算は、整数値で定められた温度領域毎に計算を行う様に規定されています。
そのため、「-5[℃]の時は~」、「2[℃]の時は~」の様に表形式でその温度の場合の計算を行ってAPFpを算定することが可能です。

y=f(tj) …… tjは整数値[℃]

しかし、グラフを描画するためには、運転領域の境界点を判定したり各性能値の交点を求める必要があるため、小数点以下となる温度に対しても計算を行う必要があります。

y=f(t) …… tは小数点以下も含む値[℃]

そのため、各種の計算は整数値を採る温度tjだけでなく、リニアに変化する温度tに対して計算を行える様に対応しました。

グラフ専用ライブラリの開発

今回描画するグラフは、「線グラフ」と「棒グラフ」でした。

「APFp計算ツール」画面イメージ4~開発では、グラフ描画のための専用ライブラリを独自に実装しました。

「線グラフ」は、何層にもレイヤーを重ねる必要があったり、運転領域の境界で特殊な描画が必要だったりと、単純な y=f(x) 形式では描画できないグラフでした。

PHPで動的にグラフを描画するためには、有償・無償合わせてさまざまなライブラリが存在していますが、各種ライブラリと今回の要求仕様を検討した結果、今回はPHP(GD)にグラフ描画のための専用ライブラリを独自に実装することにしました。

「APFp計算ツール」画面イメージ5~専用ライブラリでは、各軸の算定やラベル、補助線や凡例などをライブラリ化した他、特殊な描画を行う曲線も実装しました。

専用ライブラリでは、各軸の算定やラベル、補助線や凡例などをライブラリ化した他、特殊な描画を行う曲線も前述した計算エンジンを活用して関数化し、将来の発展性も含んだ制作を行うことができました。

仕様

コンテンツ内容 ガスヒートポンプエアコン期間成績係数APFp計算ツール
公開種別 一般公開(クライアントサイト内のコンテンツのひとつとして公開)
制作期間 約6ヶ月
運用開始 2015年10月~
デザイン制作 当店(既存サイトを踏襲)
保守 無し
稼働サーバ レンタルサーバ
システム構成 FreeBSD, Apache, PHP
データベース 無し
付帯機能 CSV出力機能、グラフの動的描画